別荘での民泊事業の始め方|失敗しないための手順を8ステップで徹底解説

「民泊事業に別荘は使えるのかな」

「別荘を使った民泊事業の始め方を知りたい」

「別荘を民泊として使うために特別な許可はあるのだろうか」

と、お悩みの方がいるのではないでしょうか。

別荘は民泊事業として活用可能です。しかし民泊を禁止しているエリアがあったり、清掃スタッフの雇用が難しかったりと、使用する際の注意点もあります。

本記事では、別荘での民泊事業の始め方と注意点を解説します。成功させるポイントも解説するので、別荘での民泊事業を始める前に必ず確認しながら進めてみてください。

監修者
民泊管理バンク 代表 高橋拓真

池袋で民泊運営しながら民泊代行サービスも展開

2018年に鎌倉で民泊運営を開始。その後、民泊運営代行も運営する傍ら、池袋(東京都)でも自社の民泊を運用中。

客単価と稼働率を上げることが得意。民泊運営のリアルな情報を発信している。

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別荘での民泊事業で失敗しない始め方8ステップ

別荘で民泊事業を始めようとして、そもそも民泊運営ができないエリアだったり、ほかの物件と差別化ができずに予約が入らなかったりと、失敗する人も少なくありません。

そこでここでは、民泊事業で失敗しないためのステップを8つの手順で解説します。

  1. 民泊運営ができるエリアかどうか確認する
  2. 景観がきれいな物件を選ぶ
  3. 設備面で差別化出来る物件を選ぶ
  4. 設備要件と居住要件を満たしているか確認する
  5. 消防法に対応するために消防設備を設置する
  6. 民泊の届け出を行う
  7. プロのカメラマンに内装を撮影してもらう
  8. 民泊の集客サイトに掲載する

1. 民泊運営できるエリアかどうか確認する

別荘での民泊事業を始めるためには、民泊を運営できるエリア(用途地域)かどうかを調べる必要があります。民泊の運営許可が出ている用途地域に該当していなければ、民泊事業ができません。

また用途地域に該当していても、そもそも別荘の管理組合として民泊運営が禁止されていることもあります。例えば、別荘地である伊豆は「エメラルドタウン」と呼ばれる地域でしか民泊が開業できません。

隣の別荘地である「南箱根ダイヤランド」や「富士見ニュータウン」などでは、管理規約で民泊事業を禁止しています。

別荘の物件を探す際は、用途地域や管理規約を必ず確認しましょう。民泊の用途地域については以下の記事で詳しく解説しています。

「用途地域」とは?民泊できない地域があるので要注意

2. 景観がきれいな物件を選ぶ

民泊事業として別荘を使う場合は、景観も重要です。建物から見える景観が圧倒的にきれいで、インスタ映えする物件を選ぶと、予約が入りやすくなります。

例えば以下のような物件は、別荘での民泊事業に適しています。

引用:Airbnb

別荘を民泊として利用する人は、観光地に行くよりも「別荘地で遊び尽くしたい!」と考えている人が多い印象です。

別荘を民泊として利用する人が「SNSに投稿したい!」と思うような物件を選びましょう。

3. 設備面で差別化できている物件を選ぶ

民泊事業を始める別荘を選ぶ際は、設備面で差別化できているかどうかも重要になります。例えば以下のような設備が充実している物件は、予約が入りやすくなるでしょう。

  • サウナ
  • プール
  • ドローン
  • ジャグジー

景観や立地が良くない別荘でも、設備面で差別化を図ることができれば、民泊に利用しても失敗しにくくなります。

4. 設備要件と居住要件を満たしているか確認する

設備要件と居住要件を満たしている物件でなければ、民泊事業を始められません。

民泊事業を始めるために、満たす必要がある設備要件は以下の4つです。

  • 台所
  • 浴室
  • 便所
  • 洗面設備

上記の設置場所が同じ敷地内であれば、民泊として使えます。居住要件は以下のいずれかに該当すれば、民泊事業として利用可能です。

  • 現に人の生活の本拠として使用されている家屋
  • 入居者の募集が行われている家屋
  • 随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋

民泊を運営するためには、現在人が住んでいるか、すぐに生活できる物件である必要があります。空き家など、住宅として使用されていない場合は民泊の物件として申請できません。別荘は「随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋」に該当します。

民泊事業を始めるなら、設備要件と居住要件を満たしている物件を選びましょう。

5. 消防法に対応するため消防設備を設置する

物件を確保できたら、民泊運営できるように法律で指定された消防設備を整えましょう。民泊として運営するためには、火災報知器や誘導灯などが必要になります。一部、免除になる要件もあるので、詳細は管轄の消防署に確認が必要です。

しかし、以下のような消防設備はほぼ設置が必須になるでしょう。

  • 自動火災報知設備(必ず必要)
  • 誘導灯(一部免除有り)
  • 階段通路誘導灯(一部免除有り)
  • 消火器(延面積150m2以上)

消防設備の内容は以下の記事で解説しています。選んだ物件の延床面積や間取りなどと照らし合わせながら確認してみてください。

【図解】民泊の消防設備って何が必要?費用も解説

6. 民泊の届出を行う

消防設備を設置した後は、実際に民泊の運営許可を得るために、自治体に民泊の届出を行う必要があります。

一般的には、保健所に届出を提出すれば問題ありません。地方の場合は管轄窓口が異なる場合があるため、一度市役所に確認したほうが良いでしょう。

また、届出と聞くと難しいように感じますが、以下の内容を記載して提出すれば、問題なく受理されます。

  • 間取り図
  • 賃貸契約書
  • 民泊の届出申込書

時間がない方や難しいことに関わりたくないという場合は、行政書士に依頼も可能です。しかし、ほとんどの方は自分で申請されることが多い印象です。民泊の届出の記載方法や、民泊の届出番号受理までの手順は、以下の記事で詳しく解説しています。

【テンプレ付き】 民泊の申請を確実に最短・無料で行う方法とは?【費用も解説】

7. プロカメラマンに内装を撮影してもらう

民泊の届出まで完了したら、部屋の内装をプロカメラマンに撮影してもらいましょう。素人でも撮影は可能ですが、暗くなったり、狭く見えてしまったりしてしまうため、映えるような写真を撮るのは至難の業です。さらにインスタ映えするようなおしゃれな画角で撮影できません。

プロのカメラマンに依頼すると、1部屋3〜5万円程度で依頼可能です。予約獲得に大きな影響を与える部分なので、妥協せずに映える写真を撮影してもらいましょう。

例えば、以下のような物件は内装が映えるように撮影されています。

引用:Airbnb

「ここなら泊まってみたい!」「写真を撮りたい」と、思わせるような内装の写真を準備しましょう。

Air bnbで予約が入りやすい民泊の写真の撮り方のコツを、こちらの記事で紹介しています。
>>つい泊まりたくなる…!民泊を魅力的に見せる写真の撮り方とは

8. 民泊の集客サイトに掲載する

民泊の届出や内装の写真が準備できたら、AirbnbやBooking .comなどの集客サイトに掲載しましょう。

AgodaやExpediaなど、さまざまな集客サイトがありますが、民泊の場合はまずAirbnbへの掲載がおすすめです。Airbnbは、Webサイトでガイドされるので、言われた通りに入れるだけで掲載可能です。Bookingは掲載までの手続きが少し複雑なので、後回しでも良いでしょう。

Airbnbでの予約の入りが悪い場合に、他の集客サイトに掲載していけば、効率良く売上を上げていけます。

また別荘での民泊事業を行う際は、Airbnbではなく、一休.comに掲載する方が単価を高く掲載できる可能性があります。別荘を求めている人からの予約が入りやすく、簡単に一泊あたりの単価を上げられるでしょう。

来てほしいターゲットを明確にして、掲載サイトを決めることも大切です。

別荘で民泊事業を始める2つのメリット

別荘での民泊事業を始める手順を解説しましたが「別荘で民泊事業を始めると、どんなメリットがあるのだろうか」と、お考えの方もいるはずです。別荘での民泊事業には、以下の2つのメリットがあります。

  1. 自身が使わない期間は収益を得られる
  2. 物件の劣化を防げる

1. 自身が使わない期間は収益を得られる

別荘で民泊事業を行うと、自身が使わない期間に収益が得られます。例えば、お盆やゴールデンウィークなど、遠出が活発になる時期に合わせて別荘を民泊として運営すれば、毎年定期的な収入を得られる可能性があるでしょう。

また別荘は、固定資産税や光熱水費の基本料金などの負担が必要です。民泊施設としての稼働率が上がれば、別荘維持管理コストを稼げる可能性があります。

別荘を民泊事業として活用すれば、別荘維持管理コストの獲得や定期的な収益につながるでしょう。

2. 物件の劣化を防げる

別荘を民泊として活用すると、人の出入りがあるため建物が劣化しにくくなります。人の出入りがない建物は、空気の入れ替えができません。建物の中の湿気が多くなり、劣化のスピードが早くなります。

また別荘を全く使っていなかったら、空き巣や放火などの被害に遭う可能性も高くなるでしょう。

物件を長持ちさせられる点は、別荘を民泊として活用する大きなメリットです。

別荘で民泊事業を始める2つのデメリット

別荘での民泊事業はメリットだけではありません。以下の2つのデメリットを把握してから、別荘での民泊事業を始めるかどうか検討しましょう。

  1. 初期費用が高くなる可能性がある
  2. 別荘の利用を制限される

1. 初期費用が高くなる可能性がある

別荘での民泊事業を始める際に、物件のリフォームが必要になると、初期費用が高くなってしまう可能性があります。また別荘を購入してから民泊として活用する場合は、不動産購入費用も必要です。

物件の状態によっては、リフォーム費用が不動産購入価格と変わらないぐらいかかってしまう可能性があります。別荘での民泊事業を始める前に専門家に相談して、どの程度の初期費用が必要になるかの確認が必要です。

自己資金が足りるか不安な方は、融資やローンを検討してみてください。民泊の融資やローンの詳しい内容については、以下の記事で解説しています。

民泊で使えるローン・融資の種類や注意点を徹底解説! 民泊で使えるローン・融資の種類や注意点を徹底解説!

2. 別荘の利用を制限される

別荘を民泊として運営すると、自分の別荘の利用が制限されます。お盆やゴールデンウィークなど、宿泊客と使いたい時期が被るためです。

遠出が活発になるお盆やゴールデンウィークなど、予約が入りやすい時期は大きな売上が見込めるため、別荘を民泊として運営したほうが良いでしょう。そのため、自身が利用するのを我慢して民泊として運営しなければなりません。

自分が利用したい時期は、民泊として活用しないなど、民泊事業として運営する時期の計画を立てましょう。

別荘で民泊事業を始める際の3つの注意点

民泊を運営していると、トラブルが起こることもあります。ここでは別荘での民泊事業ならではの、始める前の注意点を3つ紹介します。

  1. 別荘地の多くは民泊事業を禁止している
  2. 騒音リスクに備えておく
  3. 清掃スタッフの確保が難しい

1. 別荘地の多くは民泊事業を禁止している

多くの別荘地は民泊事業を禁止しているため、物件が見つからない可能性があります。例えば長野県の軽井沢町が民泊施設の設置を禁止している事例です。

貸別荘には「旅館業許可を取得して運用する」「1ヶ月以上の賃貸を行う戸建ての住宅として貸別荘運用を行う必要がある」などの基準を設けています。

各自治体の別荘地の管理規約などを確認して、民泊事業を始めていいかどうかの確認が必要です。

参考:軽井沢町 民泊施設等の取扱基準について

2. 騒音リスクに備えておく

閑静な場所に別荘地があり、家と家とが近い場合、騒音リスクに備えておく必要があるでしょう。近隣住民と騒音トラブルになる可能性があるためです。

例えば、長野県の軽井沢市で貸別荘を運用する場合「近隣説明を実施する範囲は、行為地の敷地境界線から50mの範囲」と、近隣住民への説明を義務化しているケースもあります。

別荘での民泊事業を始める前に、近隣に人がいないかどうか確認が必要です。家と家とが違う場合、近隣住民との騒音トラブルを避けるために、民泊として運営することの説明を行う必要があるでしょう。

参考:軽井沢町 民泊施設等の取扱基準について

3. 清掃スタッフの確保が難しい

・別荘で民泊事業を始める場合、別荘地の場所によっては、清掃スタッフの確保に苦労するケースは珍しくありません。民泊清掃サービスを提供している業者がいない場合、自身で採用活動をする必要があります。

例えばアルバイトをジモティーなどで別荘を清掃してくれる人を雇うか、アルバイトを代わりに見つけて、一括で清掃を担当してくれる代行会社を見つける必要があるでしょう。

別荘での民泊代行をやってくれるところは少ないので、清掃スタッフの確保に苦労する可能性が高いです。

別荘での民泊事業を成功させるためのポイント3選

別荘での民泊事業は、ポイントを抑えることで成功確率を大幅に上げられます。ここでは、別荘での民泊事業ならではの成功させる3つのポイントについて解説します。

  1. 内装にこだわる
  2. 周辺の施設の稼働率を確認する
  3. 売上を上げようとしてくれる民泊運営代行会社と契約する

1. 内装にこだわる

別荘での民泊事業では、物件の内装にはこだわりましょう。他の施設や別荘と差別化できないと、宿泊客からの予約が入りません。

カフェ風のおしゃれな内装にするなど、宿泊客が「泊まってみたい!」と思える内装にしないと、他と差別化できず、価格競争に巻き込まれます。予約が入らず赤字という状況になりかねません。

自身で内装をデザインするよりも、ココナラなどで2〜3万円出して、プロのコーディネーターにおしゃれな内装を考えてもらうほうが、素人感も出ません。場合によっては別荘のリフォームも必要になるため、初期費用が高くなる可能性があります。

しかし、予約が入るようにならなければ民泊として運営する意味がありません。内装にこだわって他の物件との差別化を図り、集客につなげましょう。

2. 周辺の施設の稼働率を確認する

別荘を民泊事業として活用する前に、周辺の施設に客がきているか、利益が出そうか確認しましょう。周辺の施設が集客に困っているのであれば、自身の民泊事業を成功させるのは難しいといえます。

どれだけ別荘が魅力的でも、立地やエリアに収益性がなければ、売上を見込めません。競合の宿泊施設や、物件があるエリアの観光客の来訪数など、細かな分析も必要です。

別荘での民泊事業を始める前に、周辺の施設の稼働率を調べて、売上が見込めるかどうか検討する必要があります。

3. オーナー最優先の民泊運営代行会社と契約する

別荘での民泊事業を始める際は、オーナーを優先してくれる民泊運営代行会社と契約することが大切です。

どのような民泊経営をしたいか・何を民泊運営会社に任せたいかはオーナー様によってそれぞれでしょう。
住宅宿泊管理業者と最低限のみ契約したい方。
予約の管理など面倒なことはやりたくない方。
メールと電話の24時間対応をお願いしたい方。

オーナー自身が「やりたい・できる」民泊業務だけに集中するためには、それをくみ取って併走してくれる民泊運営会社が必要です。

民泊管理バンクはオーナー様の希望を最優先し、ご相談ベースで柔軟に対応しています。
基本プランやオプションを組み合わせてオーダーメイドに組み合わせられるのが強みです。

面倒で時間のかかる業務を私たちが対応することで、オーナー様の本来の醍醐味である、民泊物件の運営戦略に時間を割いていただけるようになります。

民泊ホストとして、民泊運営の雑務の多さから十分な戦略を練ることができなかったという経験から生み出された私たちのサービス。

ご興味のある方はぜひ一度ご相談ください。

参考:現役民泊ホスト運営する完全民泊代行