民泊の駆けつけ要件と対処法3選!駆けつけ代行もあり

2018年6月に民泊新法が施行され、民泊運営のハードルが一気に上がりました。中でも「駆けつけ対応」が非常に難しい項目の一つとなっています。

しかし一口に駆けつけといっても、どのような時に駆けつければ良いのか分からないことが多いでしょう。

そこで今回は、民泊の営業を開始するにあたって大きなハードルとなっている「緊急時駆け付け」要件について説明します。

監修者
民泊管理バンク 代表 高橋拓真

池袋で民泊運営しながら民泊代行サービスも展開

2018年に鎌倉で民泊運営を開始。その後、民泊運営代行も運営する傍ら、池袋(東京都)でも自社の民泊を運用中。

客単価と稼働率を上げることが得意。民泊運営のリアルな情報を発信している。

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1. 民泊の緊急時駆け付け要件とは

「緊急時駆け付け」とは、その名の通り、民泊ホストや委託された人が緊急時や周辺住民の苦情に常に対応できるよう(原則として1時間以内の駆けつけ)、スタンバイしていることをいいます。管理者の駆け付けが必要な状況について具体的な明示はありませんが、次のような場合が想定されます。

・滞在先へ行く途中、迷子になった

・滞在先に到着したものの鍵の開け方が分からない(鍵の場所が分からない)

・鍵を無くしてしまった

・オートロックなのに鍵を持たずに部屋を出てしまい、締め出された

・トイレ(シャワー)の水が止まらない、水が流れないなど、水回りのトラブル

・病気になった

ただ電話で解決できることは電話で解決してしまうため、基本的には駆けつけが必要でないことも実情です。

ただスーパーホストの中には常に駆けつけを行い、ゲストの目の前で問題を解決するため、その真摯がゲストの心に刺さり高評価を得ている方もいらっしゃいます。

2. 民泊の駆け付け要件の義務を課している自治体は!?

2-1.全国の駆けつけ要件の現状

何をもって緊急というのか、通報があってからどのくらいで駆け付ければよいのか、実は「緊急時駆け付け」の要件の程度は、自治体によって様々です。最初の通報から概ね1時間以内の駆け付けが国が定めている法律です。

しかし落とし穴は、この法律に加えて上乗せ条件として各自治体が条例で規制しているという点です。

例えば、東京都23区の一つの墨田区のように、ゲストが宿泊している間は施設内に管理者(または対応できるスタッフ)が常駐していることを原則としています。

その一方で、10分以内に徒歩で管理者(または対応できるスタッフ)が現場に駆け付けられる体制があればよしとしているような自治体もあります。

2-2.京都市が一番駆けつけ要件が厳しい

墨田区では管理人の常駐が必要とのことで、これだけでも大半のホストは参入を諦めざるを得ない状況です。

実は墨田区と同レベルでより広範囲に規制を課している自治体が京都市なのです。

京都市はご存知の通り世界屈指の観光都市で、早くから民泊の利用が広まった土地として知られています。国内屈指の民泊対応自治体というべき存在で、京都市の条例は、これから民泊を誘致しようと考えている自治体のモデルケースになると考えられています。

そんな京都市ですが、違法民泊による夜間の騒音問題やごみのポイ捨てなどが社会問題に発展し、京都市民の生活を守るための規制が必要になってきました。そこで、現行の法律に上乗せする形で、家主不在型の施設を対象として市が独自で設けたのが「民泊緊急駆け付け要件」です。

民泊事業者の間では、この要件の厳しさは有名で、物件から徒歩10分以内とされる半径800メートル以内に管理者の駐在が義務付けられています。これに加えて民泊チェックイン時は対面でなければならないといったさらに厳しい条例があるのも有名です。

2-3.「緊急時駆け付け」導入後の京都市の民泊の現状

ホテルや旅館は、どんなに小さくても管理人が常駐していて、何かあれば深夜であっても部屋に駆け付けることが可能です。

京都市は、それと同等の管理を民泊にも求めています。管理者が同じ建物内に住んでいる場合や、周辺に自宅がなければ、個人事業主が規制に対応するのは正直容易ではありません。

管理者自らが対応できないというのであれば、管理者を別に雇って、近隣に待機させておく必要が生じます。民泊物件と管理者の駐在場所の距離が800メートルをほんの少し超えていたため、届け出が市に受理されなかったという事例もあります。

副業目的で、アパートやマンションの一室をまた貸し的に民泊を行っている物件は、この緊急時駆け付け義務で完全に違法状態となります。京都市では条例下での民泊の運営が義務付けられていますので、違法民泊の運営は非常にリスクが高くなっています(違法民泊の逮捕事例も公表されています)。

3. 民泊の駆けつけ要件を満たす方法3選

このように民泊の緊急駆けつけは非常に要件が厳しいです。この民泊の駆けつけ要件を満たすためにいくつか方法がありますので、ご紹介します。

3-1.自分で民泊の駆けつけ対応を行う

まず1つ目は非常に簡単です。あなたが仮に民泊物件の周辺にお住まいであれば、あなた自身で民泊の駆けつけを行えば良いのです。

もちろん人件費は無料ですし、何よりあなたの民泊物件をあなた自身で管理することができるので、何が起きても安心です。

3-2.近隣住民や知り合いに民泊の駆けつけ対応をお願いする

仮にあなたが民泊の緊急駆けつけ対応を行うことができない場所に住んでいた場合、次にあたるべき人は近隣住民や民泊物件に駆けつけ可能エリアに住んでいる知人です。

駆けつけ対応は1ヶ月に何回も出動することはありません。近隣トラブルになる場合は年に1回あるかないかですし、ゲストからの問い合わせも基本的に電話やメッセージで対応できてしまいます。

ですから、あまり稼働する必要がないため、その点をご理解いただければ協力してもらいやすいでしょう。

3-3.SNSを利用して民泊の駆けつけ対応人員を探す

近隣の方と関係性がなかったり、知人もいなかったり、どうしようもないという方もいるでしょう。その場合は、Facebookやジモティーという地元の人用の掲示板で駆けつけ対応可能な方を探すことができます。

Facebookであれば、民泊の駆けつけ対応可能な方を個人で募集することができるFacebookのグループもありますので、活用してみてはいかがでしょうか?

4. まとめ

民泊新法が始まり、合法的な民泊が多くなりつつある一方で、各自治体の上乗せ条例でもがき苦しんでいるのが現状です。

またあなた自身で駆けつけができれば良いですが、必ずしもそうとは限らないでしょう。

24時間確実に駆けつけ可能な当ブログを含めた民泊の運営代行業者にお願いすることも検討してみてはいかがでしょうか?