煩雑な手続きを済ませてようやく開業をすることができた民泊。とはいえ民泊の供給過多により価格競争に巻き込まれてしまい、予定していた通りの利益を出すことができていないという状況になっていないでしょうか?
今回は、周辺物件の値段にとらわれずに、あなたが欲しい宿泊単価を設定してもきちんと予約数が増える宿の作り方についてお伝えしていきます。
「民泊を始めてみたいけど手続きや手順などが分からない…」という方は、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
現役ホストが解説する民泊の始め方7ステップを見てみる
池袋で民泊運営しながら民泊代行サービスも展開
2018年に鎌倉で民泊運営を開始。その後、民泊運営代行も運営する傍ら、池袋(東京都)でも自社の民泊を運用中。
客単価と稼働率を上げることが得意。民泊運営のリアルな情報を発信している。
1.高単価民泊を運営するにはコンセプト設定が必須
そもそもですが、民泊を始めてただ単にAir bnbに載せたからといって、すぐに1泊1万円も2万円もするような宿にすることはできません。1泊1万円以上の宿にするためには、どのようなゲストにどのような形であなたの宿を楽しんでもらいたいのか?ということを決める必要があります。これが「コンセプト設計」にあたります。
2.民泊のコンセプト設計のためにはペルソナが重要
ではコンセプト設計はどのようにすれば良いのでしょうか?初めての方でも簡単にコンセプト設計ができるように、基本中の基本のコンセプト設計に必要な項目を考えてみましょう。
まずはあなたの物件のコンセプトを考えるためには、どのようなゲストに泊まって欲しいかというペルソナを設定することが重要です。
2-1.あなたの民泊に泊まる「ペルソナ」とは
そもそも「ペルソナ」という言葉を聞いたことはありますか?ペルソナはあなたの民泊に泊まるゲストの具体的な人物像のことです。
例えば、私は湘南で私の住居の一部を貸して民泊を行なっていました。ですから、ホームステイであるということと、鎌倉や江ノ島などの観光地に近く、私自身が観光案内をすることを強みにしていました。
私が設定していたペルソナは次の通りです。
- ヨーロッパ系のグループ旅行客
- 日本の文化を楽しみたくて日本に来ている
- 観光地だけではなく、地元の人が行くようなローカルな場所を好んでいる
このような方々が泊まりたくなる民泊を目指して運営していました。
2-2.民泊のペルソナ設定をするために考えるべきこととは?
民泊のペルソナ設定をするために考えるべきことは次の2つです。
- ターゲットのグループ像とは?
- ターゲットはどのようなことを求めているのか?
順番に見ていきましょう。
2-2-1.ターゲットのグループ像とは?
ペルソナとはターゲットの人物像ですから、ファミリー向けなのか、カップル向け、友達同士もしくはバックパッカーなどの単身で安宿を求めている人なのかという大まかなグループの種類を考えてみましょう。
ファミリー向けであれば人数が多いため、高単価を狙えます。またカップル向けであればインスタ映えなどができるのであれば、十分に来てもらう価値はあるでしょう。一方で、バックパッカーなどは安さを求めるため、今回の高単価民泊には向いていないと言えます。
まずはどのような層のゲストをターゲットにするかを考えます。
2-2-2.ターゲットはどのようなことを求めているのか?
次に考えるべきことは、①で決めたターゲット層がどのようなことを求めているかを考えましょう。
私の鎌倉の民泊のように観光を求めているのか、それとも古民家のような日本独自の文化に触れることを求めているのか、それとも山の中でゆったりと暮らすなどといった「ゆとり」を求めているのか、様々な要素があるとは思いますが、どのようなことを求めて泊まっていただきたいかを考えましょう。
とりあえずこれらを1つだけ決めるのではなく、最低でも3個以上具体的に求めることを考えてみることで、コンセプト設計に必要な条件を挙げることができます。
2-3.コンセプト設計をするときの4つのヒント
ここまででどのようなゲストに泊まってほしいか?という条件は定まりました。
それでは次にどのような民泊として世の中の人に見てもらうか?ということを決める必要があります。それが「コンセプト設計」にあたります。
その時にヒントとなる質問事項をいくつか用意してみました。
- あなたの物件の周りにはどんな観光地がありますか?
- あなたの人柄はどのようなものですか?
- あなたの趣味はなんですか?
- あなたの物件のオリジナル性はなんですか?(どんな特徴がありますか?)
家主在住型でも家主不在型でも良いのですが、他の物件とは違う付加価値をつける必要があります。その付加価値か何かを考える際に、上の4つの質問を考えてみると、何か新たな価値に気づくことができるかもしれません。
例えば、あなたの趣味がサイクリングなのだとすれば、ロードバイクを無料で貸し出し、その地元の人しか知らないサイクリングロードマップを作って、ゲストの方にご紹介することも1つの強みでしょう。
現在、弊社のお客様には富士山の麓に別荘を持っている方がおり、その方はネットには載っていない自動車が走ることができない絶景の見えるサイクリングコースを知っているため、ゲストの方には非常に人気の物件となっています。
私の鎌倉の民泊の物件は私(鎌倉のローカルの人)による美味しいお店や歴史文化の紹介付きのガイドや日本の家庭料理の料理体験ができるなど、「本来の日本の良さを知ることができる」物件としてコンセプトを作っていました。
コンセプトをじっくり考える時間を作るには、雑務を外注するのが一番です。
民泊に関する細々した業務を外注したいなら、民泊管理バンクのサービスを検討してみてください。
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3.訪日外国人が求める民泊のコンセプトを口コミから分析
ここまで、あなた中心の物件の作り方を説明させていただきました。
ここからはもう少しレベルの高い話をしていきます。あなたの作りたい民泊だけでなく、本来はゲストが欲しがっている民泊とあなたの作りたい民泊の中間が最もお互いにとって良い民泊になります。
この中間のちょうど良い民泊を作るためには、訪日外国人に人気の物件がどういったものなのか、もしくはどのような条件を外国人が求めているのかについて検証する必要があります。
3-1.訪日外国人が民泊に求めるものとは?
訪日外国人の多くは、神社仏閣を始めとする日本特有の歴史や文化に触れることを楽しみにしていますが、実は観光から部屋に戻ると、日本らしさというよりも自分がリラックスできる「心地よさ」や「清潔感」を求めているように感じられます。
Airbnbに掲載されている物件のレビューを見てみると、ゲストは民泊を営業するホストの方にフレンドリーな対応を求めているものの、部屋に入ったら過度の干渉はしないで欲しい…と思っている方も少なくないようです。
3-2.訪日外国人の日本の民泊に対する口コミとは?
それでは、実際の訪日外国人の口コミを見てみましょう。
Airbnbの物件に寄せられたゲストからのコメントをまとめてみました。
コメントは大きく分けて2つの傾向に分けられます。
- 部屋の「心地よさ」や「清潔感」に重きを置いているコメント
- 「フレンドリーな対応」に重きを置いているコメント
具体的に見ていきましょう。
3-2-1.部屋の「心地よさ」や「清潔感」に重きを置いているコメント:
・居心地がよく清潔感のあるお部屋。また利用したい。
・滞在期間中、清潔なタオルに交換し、ハウスキーピングをしてくれた。
・本当に自宅のような感覚でゆっくりくつろぐことができた。
・居心地が良い家で、清潔感があった。
・余計なものがなく、見た目にも清潔感が伝わってくるので安心。
3-2-2.「フレンドリーな対応」に重きを置いているコメント:
・ホストからウエルカムジュースとフルーツの提供があり、とてもフレンドリーに感じた。
・ホストが準備した観光リストがとても役に立った。
・レストランの代理予約をしてくれた。
・ホストが親切で、流暢な英語で説明をしてくれた。
・チェックアウトの日が雨でしたが、駅まで車で送ってくれた。
3-2.民泊の口コミから見る人気を得るためのコツ
基本的に清潔感のあるお部屋は評価が高い傾向にあります。
そして、長旅や観光で疲れた身体を癒すための居心地の良さが求められます。駅から近い物件は評価されやすいですが、日本を肌で感じ、日本を楽しむために訪れている外国人の方にとって「駅から近い」という立地条件が良いことが必ずしも高評価のポイントではないことがわかります。
ホストの対応はやはり重要ですし、どのような「おもてなし」を体験することができたのかが非常に重要になってきます。
例えば、Aribnbでは、ふすまや畳部屋もありながら、正座やちゃぶ台などの生活様式に慣れない外国人のために椅子やソファもしっかりと整えられているお部屋や、ほこりがたまりやすい過度なインテリアや小物は配置せず、ポイントを絞り込んで日本らしさを演出しているお部屋が人気です。
部屋の雰囲気を伝えるためには、写真はとても重要です。
こちらの記事ではポイントをおさえた写真の撮り方を紹介していますので、参考にしてください。
予約が入りやすい民泊の写真の撮り方のコツを知る
4.【実例】「コンセプト設計」で成功した民泊
ここからは実際にコンセプト設計をうまく設計した民泊の事例をご紹介します。
私が実際に以前お邪魔させていただいた物件で、非常に感激した民泊が東京都多摩市に存在します。こちらのお部屋のコンセプトは「全てあなた好みに」というものです。
まずお部屋に入るためにドアノブに手をかけると目の前に手作りのwelcomeボードが飾られ、さらに私の名前が書かれてあります。
中に入ると日本の住宅らしい畳のお部屋が広がります。ちょっとした目隠しにもなる暖簾は日本らしいお洒落なアイテムです。そして壁には北斎などの浮世絵が飾られています。
私は日本人ですが、仮に外国人としてこのお部屋を訪れたとすれば、それはもう感動の嵐でしょう。
お部屋のコンセプト設計が上手な今回のような民泊は、たとえ最寄り駅から徒歩30分以上離れているところであっても、駅から徒歩圏内の物件よりも高い宿泊料金を設定することが可能になります。
実際にこちらの民泊は1泊1万円以上します。ちなみに多摩駅周辺の民泊は高くても1泊8,000円程度ですので、駅近である必要性は全くありません。
むしろ駅から離れており、家賃が安いにもかかわらず、駅近以上の収益を出しているため、穴場な場所だと言えます。
さらによくよく話を聞いてみると、こちらの物件の予約はほとんどがリピーターさんで、Air bnbを通さずにそのまま予約されるとのこと。
直接予約ということはその分、手数料を支払う必要がありませんから、収益をあげやすいですし、値上げをしてもきちんとお客さんがついてきてくれるという、最強の民泊です。
5.民泊のコンセプトまとめ
今まではAir bnbにお部屋を掲載して終わっていた方も、このように誰をターゲットにして、どのように楽しんでもらいたいか?そのためにどのような工夫をするのかを考えるだけで、今までの2〜3倍の利益を上げることができるようになります。
こういった戦略設計をゆっくり考える時間を設けるためにも、民泊代行を活用して業務負荷を極力減らしましょう。
弊社でも民泊代行を行なっているので、気になる方は以下のページをご覧ください。
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