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民泊ホストも確定申告が必要!?サルでも分かるほど簡単に解説します

民泊ホストとして民泊の届け出は終わったという段階で一安心していると思いますが、実は落とし穴があります。毎年2月に「確定申告」という税金の申告時期がやってきます。民泊は当然ながら事業の1つであるため、あなたも事業主になり、税金の申告が必要となります。

ただいきなり税金の申告しろ!と言われてもなかなかできないと思います。事前の準備や知識が必須となるものですので、ここでどのような税金区分になり、どのような申請が必要なのかについて解説していきます。

1. 民泊事業はそもそも確定申告の対象になるのか?

民泊新法のメリットは、届出のみで民泊の営業が可能なことです。自治体の条例で禁止されていない限り、基本的にどの地域でも合法的に民泊を提供することが可能です。その結果、届出を行う民泊として「副業」という扱いの場合と、旅館業法にて運営する「宿泊事業」の場合の2通りの分け方ができるようになりました。

いずれのタイプの民泊であっても、民泊というビジネスによって得た利益は、所得税の課税対象となります。お給料のように毎月所得税が天引きされるわけではありませんので、自分で確定申告を行って所得税の額を計算し、納税しなければなりません。

2. 確定申告が必要になるボーダーライン

2-1. 副業の場合

民泊で稼いだ収入からその収入を得るためにかかった経費と一定の控除額を差し引いた後の金額(すなわち、所得金額)が20万円を超えなければ、確定申告をする必要はありません。例えば、民泊で500万円の収入を稼いだとしても、改修工事や管理費用等で合計490万円の経費がかかったとします。この場合の所得金額は10万円となりますので、確定申告をする必要はありません。しかし、民泊だけでなく、ブログ等で広告収入があり、それらと合わせると20万円を超えるといった場合は、確定申告が必要となります。

2-2. 本業の場合

民泊ビジネスを本業とする場合、所得金額が38万円を超えているのであれば、確定申告が必要です。特に旅館業を取得して運営しており、38万円以上の所得を旅館業を取得した物件からもらっている場合は例えサラリーマンとして別の収入があったとしても「本業」となります。

2-3.必要経費はどこまで入るのか?

所得の金額を計算する上で収入から差し引くことのできる必要経費は、次の金額とされています。つまり、なんでもかんでも必要経費として計上して良いというわけではありません。経費として申告することができるものは主に下の2つのみになります。

(1) 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額

(2) その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

確定申告を行う際に使う主だった経費項目をまとめてみます。

勘定科目 内容
通信費 電話代、切手代、プロバイダー料金、レンタルサーバー料金
水道光熱費 電気代、ガス代、水道代のうち民泊ビジネスで利用する割合分
旅費交通費 民泊ビジネスを行う上で必要な交通費(電車、バス、タクシー)、ガソリン代、駐車料金、高速料金、宿泊費用
広告宣伝費 民泊の広告や宣伝のために要した費用
消耗品費 10万円未満のパソコン代、用紙代、プリンターのインク代等
事務用品費 筆記用具、ファイル等
修繕費 民泊で提供する部屋や、パソコン、事務用器具の修繕のために要した費用
新聞図書費 民泊を行うための教本や、情報商材等
交際費 民泊に係る情報交換等のために要した飲食代や懇親会の参加費用
外注費 民泊ビジネスを遂行するために外注を使った際の費用
減価償却費 10万円以上の資産(建物、パソコン、デジカメ、キャビネット等)を当該資産の耐用年数に基づいて償却した場合の当期の費用相当額
地代家賃 家賃、駐車場代のうち民泊ビジネスで利用する割合分

これらの経費項目は一例にすぎませんので、自分が行う民泊ビジネスに直接関連のある経費をしっかりと確認し、計上漏れがないように普段から管理しておく必要があります。

3. 所得の種類

確定申告は、申告する所得の種類がポイントとなってきます。というのも、所得税の計算方法は所得の種類によって異なるため、民泊ビジネスによる所得がどういった種類の所得に区分されるのかを知っておく必要があるからです。

所得税法上、所得は以下の10種類に区分されます。民泊ビジネスに関わってくる所得は、不動産所得、事業所得、雑所得の3種類が考えられます。

  1. 利子所得
  2. 配当所得
  3. 不動産所得
  4. 事業所得
  5. 給与所得
  6. 退職所得
  7. 山林所得
  8. 譲渡所得
  9. 一時所得
  10. 雑所得

4.確定申告における民泊の控除額はいくら?

民泊を本業として行っている場合は「事業所得」、本業は別にあり、民泊は小遣い稼ぎ程度でしか行っていないというのであれば「雑所得」に区分されます。事業所得になるのか、雑所得になるのかは非常に重要なポイントで、この2つの所得は税金上の取り扱いが全く異なります。どのような違いがあるのか、簡単にまとめてみました。

項目 事業所得 雑所得
最大65万円の青色申告特別控除(白色だと10万円) ×
損失を他の所得と相殺 ×
3年間の損失の繰越 ×
30万円未満の少額資産の特例 ×
青色事業専従者給与 ×

事業所得で申告する場合、民泊ビジネスで生じた損失は他の所得から差し引くことができ、トータルでその年の税額を抑えることができます。引ききれなかった損失は翌年度以降に繰り越すことも可能です。事業所得に該当した方が有利だということは歴然です。しかし、事業所得とするためには、旅館業法に基づく許可申請を行う必要がありますし、税務署に対するそれ相応の理由も必要です。一般的には以下の状況に当てはまることを客観的に証明する必要があります。

・一定の規模以上のビジネスであること

・民泊のみで生計を立てていること

・一時的ではなく、継続的に行っている

ちなみに、自宅の一部を民泊用に提供しているような場合は、雑所得の扱いになります。この場合、自宅を購入するにあたって住宅ローン控除を適用している場合、民泊を行うとその適用が受けられない可能性があります。住宅ローン控除を適用するためには、建物(及び土地)が居住用であることが前提です。そのため、事業(民泊)として使用していると、そもそも住宅ローン控除の適用要件から外れることになってしまいますので、ご注意ください。

これに対し、民泊を自宅以外の不動産を借りて(貸アパートや貸マンション)行っている場合、不動産所得か事業所得に該当することとなります。単に宿泊場所を貸すだけなら不動産所得で問題はありませんが、食事等のサービスも提供する場合は、事業所得か雑所得に分類される可能性があります。

(アパート、下宿等の所得の区分)

26-4 アパート、下宿等の所得の区分については、次による。

(1) アパート、貸間等のように食事を供さない場合の所得は、不動産所得とする。

(2) 下宿等のように食事を供する場合の所得は、事業所得又は雑所得とする。

参考:所得税基本通達

ただし、不動産所得に該当する場合であっても、事業規模で民泊ビジネスを行う場合は、事業所得に該当することがあります。

4. 税額計算の際の税率

さて、民泊ビジネスに係る所得金額が計算できたら、その所得に対してどのくらいの税金がかかってくるのか、気になりますよね。税金の額を計算する際に使用する税率は、一律ではありません。民泊ビジネスに係る所得の他、同じ分類である総合課税の所得を全て合算した金額を以下の表に照合して判断します。サラリーマンの場合、給与所得も総合課税になりますので、民泊ビジネスに係る所得に給与所得も合算した上で、判断するようにしてください。

課税される所得金額 税率 控除額
~195万円以下 5% 0円
195万円超~330万円以下 10% 97,500円
330万円超~695万円以下 20% 427,500円
695万円超~900万円以下 23% 636,000円
900万円超~1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超~4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超~ 45% 4,796,000円

5. まとめ

民泊も一つの事業として扱われるため、初めて民泊を副業として始めたというあなたは悪戦苦闘する可能性が非常に高いです。ただ、1度経験してしまえば来年からは非常に簡単です。

さらに、経費の落とし方もうまくすれば所得として扱わないようにして節税することもできるため、しっかりと経費の範囲などを覚えておくようにしましょう。