民泊代行はなぜ撤退・倒産するのか?顧客を託せる引き継ぎ先の選び方

民泊の運営代行を続けるうちに、思っていた以上に手間がかかり、気づけば利益が出ない状態になっていた。そんな悩みを抱え、静かに事業を縮小・撤退する代行会社は少なくありません。

しかし、すでに契約しているオーナー様がいる以上、「倒産しそうだ」「撤退する」と表立って公表することは簡単ではないのが実情です。

本記事では、民泊代行がなぜ赤字や倒産・撤退に至りやすいのかという理由と、事業をたたむ際にオーナー様へ迷惑をかけない「引き継ぎ」という選択肢について解説します。

監修者
民泊管理バンク 代表 高橋拓真

累計380棟の民泊代行実績!ゲスト満足度96.3%

2018年に鎌倉で民泊運営を開始。その後、民泊運営代行も運営する傍ら、自社ブランドThe Natureを展開。

これまでの運営実績に基づきリアルな情報を発信している。

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民泊代行が赤字になり撤退・倒産に至る理由

民泊代行の撤退や倒産は、特定の会社の経営努力不足というより、いくつかの構造的な要因が重なって起こることがほとんどです。

順番に見ていきます。

手間がかかりすぎる民泊代行の実態

民泊の運営代行は、予約サイトに物件を掲載すれば自動的に集客・売上が伸びていくビジネスだと考えられがちです。

しかし実際には、チェックイン対応、清掃手配、備品補充、鍵の管理、ゲストからの問い合わせ対応など、想像以上に細かな業務が積み重なります。

物件数が増えるほど、この「手間」は比例して増えていきますが、対応する人員はそれに比例して増やせないというのが実態です。

開業前に想定していた業務量と、実際に運営を始めてからの業務量には、大きなギャップが生じやすい部分といえます。

24時間対応という現場の負担

民泊運営では、24時間体制での対応が求められます。

「必要な情報を事前に提供しておけば、深夜の連絡はほとんど来ないはずだ」と考えて始めた代行会社も少なくありません。

しかし実際には、鍵の紛失、設備トラブル、近隣からの騒音の指摘など、深夜のトラブル対応や緊急の問い合わせが一定数発生します。

社員から「深夜対応は難しい」という声が上がっても、ゲスト対応を止めるわけにはいかず、現場の負担は徐々に大きくなっていきます。

オーナー様からも「深夜対応はどうなっているのか」と直接尋ねられる場面が増え、体制の甘さが露呈しやすいポイントでもあります。

法令遵守コストの増大(本人確認・宿泊者名簿)

近年は、住宅宿泊事業法に基づく法令遵守の要件も厳しくなっています。

行政からは「ビデオ通話で本人確認を行っているか」「宿泊者名簿は予約人数分すべて取得できているか」といった確認が入ることもあり、こうした対応には当然コストがかかります。

予約1件ごとに本人確認を行い、宿泊者全員分の名簿を漏れなく取得・保管する体制を整えるには、それなりの人手とシステムが必要です。

仕組みを整えないまま対応している代行会社ほど、法令遵守のための体制構築が後手に回りやすく、行政からの指摘を受けてから慌てて対応するケースも見られます。

オーナー様への価格転嫁の限界と少数物件の非効率

法令遵守や24時間対応にかかるコストは、オーナー様に簡単に転嫁できるものではありません。

相見積もりを取られる中で値上げを切り出せば契約を切られかねず、価格競争の中で料金を据え置かざるを得ないケースがほとんどです。

かといって、少ない物件数のまま24時間体制を維持しようとしても、当番を組むための人員配置のコストが見合わなくなります。

物件数が一定数に達するまでは、24時間対応の体制そのものが赤字要因になりやすい構造です。

事業撤退・本業集中という経営判断

手間・24時間対応・法令遵守コストという3つの負担が重なると、経営判断として別の道を選ぶ代行会社が増えています。

「このまま赤字を抱えて続けるより、事業を撤退して自社物件の運営に絞る」「本業に集中する」といった判断です。

これは経営努力が足りなかったからというより、民泊代行というビジネスモデルが構造的に抱える課題だといえます。

実際、こうした理由から静かに規模を縮小し、撤退の道を選ぶ代行会社は珍しくありません。撤退や廃業という判断自体は、決して珍しいものでも、恥ずべきものでもないのです。

民泊代行がなぜ撤退・倒産と表立って言えないのか

撤退や倒産に至る理由が構造的なものだとしても、それを表立って口にすることは簡単ではありません。

オーナー様がいる手前、公表できない事情

事業を縮小・撤退する判断をしたとしても、それを大々的に公表することは簡単ではありません。

すでに契約しているオーナー様がいる以上、「倒産しそうだ」「撤退する」と表立って言えば、不安や不信感を招き、かえってトラブルに発展しかねないためです。

そのため、対外的には通常どおり営業を続けているように見せながら、内部では新規受注を控える、対応可能な業務範囲を縮小するといった形で、静かに事業を畳んでいく代行会社も少なくありません。

黙って縮小することのリスク

一方で、公表せずに黙って対応品質を落としていくと、オーナー様との関係は徐々に悪化します。

連絡が遅くなる、清掃の質が下がる、緊急対応ができなくなるといった変化は、オーナー様にもいずれ伝わります。

業界内にいると、こうした兆候から「あの会社は実質的に撤退しつつあるな」と分かるケースも珍しくありません。

対応の悪化がオーナー様の口コミやトラブルに発展すれば、撤退後の評判にも影響しかねず、次の事業に取り組む際の足かせにもなり得ます。

民泊代行を撤退するなら顧客の引き継ぎという選択

黙って縮小する以外にも、選べる道はあります。それが、信頼できる代行会社へのオーナー様の引き継ぎです。

オーナー様を別の代行会社に引き継ぐ方が良い理由

黙って縮小し、対応品質が落ちたまま関係が続くよりも、信頼できる別の代行会社にオーナー様を引き継いだ方が、オーナー様にとっても引き継ぎ元の会社にとっても良い結果につながります。

オーナー様の運営は途切れることなく継続され、引き継ぎ元も対応品質の低下によるトラブルや評判の悪化を避けられるためです。

撤退や廃業そのものより、その後のオーナー様への対応の方が、会社としての信用を左右するといえます。

引き継ぎは水面下で行う

引き継ぎは、必ずしも大々的に発表する必要はありません。

同業の代行会社への内密な相談から始め、水面下で調整を進めることも可能です。

相談した事実自体を公にする必要はなく、いつ・どのようにオーナー様へ伝えるかについても、引き継ぎ元と引き継ぎ先の間で相談しながら決めていくのが一般的です。

相談したからといって、必ずしもすぐに全物件を引き継がなければならないわけではなく、経営状況を見ながら一部の物件から段階的に進めることもできます。

まずは情報交換や条件のすり合わせから始め、双方が納得したうえで具体的な手続きに進むという流れが一般的です。

民泊代行の引き継ぎ先を選ぶ際のチェックポイント

引き継ぎ先はどこでも良いわけではありません。

オーナー様に安心して任せられる会社かどうかを、以下の5つの観点から見極める必要があります。

  1. 24時間対応の有無
  2. 宿泊者名簿の管理体制
  3. ビデオ通話による本人確認
  4. オーナー様への説明がつく料金
  5. 引き継ぎ実績の有無

1. 24時間対応の有無

24時間対応をうたっていても、実際には深夜の連絡に対応できない代行会社もあります。

夜間の一次対応を誰が、どのような体制で行っているのか、外部委託なのか自社対応なのかも含めて、具体的に確認する必要があります。

2. 宿泊者名簿の管理体制

宿泊者名簿を、予約人数分すべて正確に取得・管理できているかは、法令遵守の観点で重要なポイントです。

人数分の名簿が揃わないまま運営している代行会社も存在するため、どのような仕組みで取得・保管し、入室前にどう確認しているかを見ておく必要があります。

3. ビデオ通話による本人確認

行政からも求められることが多い、ビデオ通話での本人確認を実施しているかどうかも確認すべき点です。

すべての予約で仕組みとして定着しているか、担当者によって対応にばらつきがある属人的な運用にとどまっていないかを見極めます。

4. オーナー様への説明がつく料金

引き継ぎ後の料金体系が、オーナー様に納得して説明できる内容かどうかも重要です。

成果報酬型の場合は歩合の料率が高すぎないか、代行手数料以外に追加費用が発生する条件がないかを確認します。

今の費用感から大きくかけ離れる料金体系だと、オーナー様の理解を得られないケースもあります。

5. 引き継ぎ実績の有無

他社からの引き継ぎに慣れているかどうかで、実務のスムーズさは大きく変わります。

引き継ぎ実績が豊富な会社であれば、必要な手続きや調整事項をあらかじめ把握しており、引き継ぎ元・オーナー様双方の負担を抑えて進めることができます。

民泊代行の引き継ぎで実際に発生する作業

引き継ぎと聞くと大掛かりな作業を想像しがちですが、実際に発生するのは主に次の4点です。

  1. OTA名義の確認
  2. 清掃会社の引き継ぎ
  3. 料金調整システム・サイトコントローラーの切り替え
  4. 引き継ぎ作業の進め方

1. OTA名義の確認

Airbnbやbooking.comなどのOTA(予約サイト)の名義が、代行会社ではなくオーナー様本人になっている場合、引き継ぎは比較的スムーズに進みます。

代行会社名義になっている場合は、オーナー様名義であらためてリスティングを作り直す必要があり、この場合はこれまで積み上げてきたレビューを引き継げない点にも留意が必要です。

2. 清掃会社の引き継ぎ

清掃会社については、そのまま引き継げるケースが多く、オーナー様への影響は比較的少ない部分です。

物件の立地や状態を把握している既存の清掃会社をそのまま活用できれば、運営品質を落とさずに引き継ぐことができます。

3. 料金調整システム・サイトコントローラーの切り替え

ダイナミックプライシングなど料金調整に外部システムを利用している場合は、引き継ぎ先が使用しているシステムへの切り替えが必要になります。

サイトコントローラーについても、引き継ぎ先と同じシステムであれば引き継ぎは容易ですが、異なるシステムを利用している場合は、一度解除したうえで切り替える作業が発生します。

4. 引き継ぎ作業の進め方

これらの作業は、引き継ぎ元と引き継ぎ先の代行会社間で調整しながら進めるのが一般的です。

オーナー様自身が細かな手続きをすべて担う必要はなく、双方の会社が連携することで引き継ぎは完了します。

作業の順序さえ整理できれば、想像しているよりも短い期間で移行できるケースがほとんどです。

まとめ

民泊代行の撤退や廃業は経営判断の一つであり、恥じるべきことではありません。

ただし、黙って対応品質を落としながら縮小を続けることは、オーナー様との関係にとっても、自社の信用にとっても得策とはいえません。

早めに信頼できる引き継ぎ先を見つけ、オーナー様に迷惑をかけない形で引き継ぐことが、双方にとって望ましい結果につながります。

終わり方を自分たちで選べるのは、まだ余力があるうちに動いた場合だけです。

経営状況が悪化してから慌てて引き継ぎ先を探すよりも、余裕のあるうちに相談しておく方が、オーナー様への説明も、引き継ぎ後の運営品質も安定しやすくなります。

どのタイミングで、どこまで話を進めるかは、状況に応じて柔軟に検討して構いません。月額3万円で運営代行を行なっているAI民泊代行に相談してみるのも1つの手かもしれません。